第十四章 マンタ洞窟

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   ※  ※  ※ ガサガサ...... ガサガサ...... 「ん?」 ガサガサ......  ガサガサ...... ガサガサ......  ガサガサ...... 「美緒さん。起きて!」 「えっ、何?」 「しっ!」 圭一は即座に美緒の口を押さえた。 時刻は夜の9時。 二人が死んだような眠りに就いてから、凡そ5時間が経過しようとしていた。 微風が枝葉を揺らす中、明らかにそれとは違う動的な音が二人の聴覚を刺激し始める。 何の音かと目を覚まし、木陰から潜望鏡の如く首を回してみれば、何とも不気味な赤い光がパイロットランプの如く、断続的に点滅しているではないか。 しかもその数は1つや2つでは無い。確認出来るだけでも10個は優に超えていた。 その光は2個を1セットにして、それぞれ左右に転回しながら確実に近づいて来ている。 それまで眠気眼を浮かべていた二人の目に、突然火が灯された。 この不気味な赤い光......それが何なのかはもはや明確だった。 忘れもしない...... 一年前の極神島事件。 秋葉秀樹、大地兄弟は、動物に遺伝子操作を施し、凶暴且つ無敵とも言える殺人生物兵器を作り上げた。 猛毒をもった毒蛇大牙(おおきば) ピストルの弾すら避けるドーベルマン。 それら生物兵器が、極神島においてエマ達を散々苦しめた事は記憶に新しい。 そして...... 血のように真っ赤に輝いた目。 それが彼らの特徴だった。 ガサガサガサ......  ガサガサガサ......   ガサガサガサ...... 赤い光は、枝葉を蹴り進む音を引き連れて、瞬く間に近付いてくる。
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