第十四章 マンタ洞窟

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美緒は気合いを込め、叫び声を立ち上げると、受け取ったばかりのステッキを猿の頭目掛けて十文字に降り下ろした。 「てやぁ!」 しかし猿は、その動きをあたかも予知していたかのように、難なく体を翻して美緒の攻撃を逃避した。 だがそんな事は始めから想定していた事。 「甘い!」 美緒は一瞬ニヤリと笑うと、ここぞとばかりにステッキのレバーを握り絞めた。 このステッキ......何やら仕掛けがあるようだ。 すると...... バチバチバチ!!! なんと先端から突如稲妻が出現し、瞬時に猿の全身を包み込んだではないか。 キキキキキッ!!! けたたましい猿の悲鳴と共に、立ち上がる真っ黒の煙。 やがて煙が絶ち消えると、そこに現れたのはなんと黒焦げになった猿の亡骸だった。未だ湯気が立ち上がっている。 護身用の改造スタンガンとは桁違いの威力。一体何ボルトの電流が、猿の全身を駆け巡ったのであろうか...... 『EMA探偵事務所』がこの1年間で進化したものは、何も武力、知力など、個人のスキルだけに止まらない。 彼女らをサポートする装備においても格段の進化を遂げていた。 それはもはや『探偵』の域を遥かに超えており、持つ者を間違えれば、最悪のテロリストに成り得る代物と言っても過言ではない。それは諸刃の剣としか言いようが無かった。
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