第十四章 マンタ洞窟

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「さぁ、美緒さん。この隙に!」 圭一は美緒の『めくら攻撃』がまんまと功を奏したのを確認すると、大きなリュックを背負いその場を立ち去る準備に掛かった。 「ちょっと何一人で逃げようとしてんの? まだ終わって無いわよ」 美緒はそんな圭一の行動をきっぱりと制した。 「まだ何かするんか?」 「......」 美緒はそんな圭一の問い掛けには答えず、足元に転がるトランシーバーを徐に手に取った。 そしてスイッチをONにし、ボリュームレベルをMAXに設定すると、なぜか遠くへポ~ンっと投げ飛ばす。 ヒュ~、ガツン。 トランシーバーは鈍い音を立ち上げ、大木の根元で固まった。 一体何をしようとしてるんだ? 圭一には、美緒の行動が全く理解出来ない。 そんな圭一の戸惑いを他所に、美緒はもう1つのトランシーバーを手に取り、バスガイドの如く案内を始めた。 「あー、あー......はいっ、お猿の皆さん。私はここですよ! 早く集まって来ないと、逃げちゃいますよ!  繰り返します。お猿の皆さん。私はここですよ! 早く集まって来ないと、逃げちゃいますよ! あー、あー......」 キキキキキッ! キキキキキッ! キキキキキッ! 50匹の『めくら猿』達は、その声に見事に反応した。 四方に分散していた猿達は、その声に引き寄せられ、美緒が投げ飛ばしたトランシーバーの元へと一気に集まって来る。
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