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すると美緒は、リュックの中から金属の塊を取り出した。先にピンのような物が付いているようだ。
手榴弾!!!
まさかっ! 圭一の全身に鳥肌が立つ。
あわわわわ......
「お猿さん。バイバイ!」
美緒は薄笑いを浮かべながらそう語り掛けると、即座にピンを抜き、50匹もの猿が集まるその中心に投げ飛ばした。狙いはドンピシャリだ!
ヒュルルルル......
ドカーンッ!!!
キキキキキ!
キキキキキ!
キキキキキ!
............
............
............
ありとあらゆる物が宙を舞った......
枝、葉、木、土......
次に猿の手、足、胴体、頭、骨、脳髄、内蔵......
50セットにも及ぶ身体のパーツが、血の雨となって二人の頭に降り落ちて来る。
バサバサバサ......
「......」
「......」
圭一はただ呆気に囚われて、開いた口が塞がらない。それは正に大虐殺と言っても過言では無かった。
もしこのまま、猿達を殺さずに生かしておいたとしたら......
必ずまたいつか、自分達の前に大きな壁となって立ちはだかる事だろう。
そう考えれば、美緒の判断は決して間違ってはおらず、むしろ正論とも言える。
しかし若干25歳の女性が、かくような荒行を何の躊躇も無くあっさりと行える心の強さは驚きに絶えない。
この人が味方で本当に良かった......
骨身に染みてそう思う圭一だった。
「ナイス省エネ! 全部撃ってたら、弾使って勿体無いじゃない。さぁ、行きましょう。『マンタ洞窟』とやらに」
頭から血のシャワーを浴びたその姿で笑顔は止めて欲しい......
「美緒さん。頭に猿の腸がぶら下がってるぞ」
「あら、そうなの。気付かなかったわ」
「......」
勢いの止まらない二人......怖いもの知らずとでも思っているのだろうか。
しかしこれから立ちはだかる敵は、猿程甘くは無い。そんな事を知るよしも無い二人だった。
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