第十五章 四神

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「さぁ、エマ! 手加減しないよ。どっからでも掛かっといで!」 龍貴は土俵に立ちはだかると、ファイティングポーズをとった。 「宜しくお願いします!」 エマも龍貴に習い、土俵の中央で力強く身構えた。 目に見えぬ厚いオーラが二人を包み込み、あたかもオーラ同士が火花を散らしているかのような錯覚に囚われる。 バチバチッ! 音が聞こえて来るようだ。 ............ ............ ............ 1分経過。 構えた途端、氷河の如く身体を硬直させた二人。 ドクン、ドクン...... 心臓の音だけが、波動のように響き渡る。 ギャラリーと化した尼達は、一体とうなるのかと、ただ固唾を飲んで見守っていた。 誰も口を開く者は居ない。完全に雰囲気に呑まれている。 ............ ............ ............ 更に1分経過。 1分前と何ら変わりは無い。 二人は未だ身体を硬直させたまま、なおも『静』を貫き通している。 これはもしかしたら我慢大会なのでは無いか? そんな疑念すら生じる程に『動』を封印した二人だった。 「ちょっと、一体どうなってるのよ」 「知らないわよ。二人に聞いてみたら?」 さすがに痺れを切らし始めたギャラリー衆。無理も無い。かれこれ2分間。二人はマネキンの如く全く動いていない。 何なんだ......全く隙が無い。 全然勝機が見出だせないじゃんか...... これは先に動いたら必ずやられな......
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