第十五章 四神

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「日本と言う国は昔から神に守られた国。そんな風に信じられて来たんだ。 今エマが言ったように、鎌倉時代『元』が攻めて来た時も、突然台風がやって来て2度に渡り、敵船を尽く九州の海に沈めている。 8月9月の台風の時期じゃ無くて、両方とも6月だぜ。確かに神ってるよな。 しかしそんな神話は、アメリカとの敗戦を持って、おとぎ話である事が証明された。 現代社会におけるアジアの勢力分布を考えた事があるか?  周りの列強がどんどん軍事力を増強している中、日本だけが完全に取り残されている。 他国なんぞに用心棒を頼む事しか能が無い今の政府にこの神の国を任せてはおけない。 今こそ我々が立ち上がらなきゃいけないんだ。解るだろエマ」 いつの間に、龍貴の顔は紅潮している。それがワインによるものなのか、そうで無いのかは解らない。 「現在の国家情勢については解りました。それで私に一体何をしろと......」 エマは戸惑いを隠せない。いきなりそんな話をされても返答に困る。 「富士国に力を貸して欲しいんだ」 龍貴は興奮を圧し殺し、努めて静かに語った。 「富士国?」 「そうだ。我々は富士国の末裔。本来は日本国を継承すべき国だった」
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