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珠いわく......
『ここで自由に動き回る為には、とにかく上に登り詰めること』
それは先般、彼女より与えた教訓だ。実際、自分もその通りと認識している。
ここに来てからと言うもの、早10日以上が経過しているが、何ら進展を見せていない。
最近ではすっかり尼の生活にも慣れきってしまい、もしかしたら自分は本当に尼? などとミイラ獲りが本当にミイラに成り掛けている自分に危惧さえ覚えていたところだ。
よしっ!
ここは一つ話に乗る態を取るのが得策!
エマは考えた末に、そんなジャッジを下した。
「もう少し話を聞かせてもらえませんか」
エマは身を乗り出した。然り気無く脈有りをアピールする。
「今はまだ全てを話す事は出来ない。ただ、いずれ必ず話せる時が来る。
今はただ、この国を強国にする為、そして正なる後継者『富士国』の為に力を貸して欲しいんだ。私を信じて欲しい」
龍貴は拳を強く握り締め、顔をなおも紅潮させ、力説を続けた。その瞳は爛々と輝き、青空のように澄み切っている。
それはその事が真の信念であり、後ろめたい気持ちなど微塵も無い事の現れと言えた。
この人は本気だ。今、私に死ぬ気で話している......
国家を転覆させる事がこの国の為と本気で認識しており、それこそが『正義』と信じて止まない。
一番厄介なパターンだ......
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