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エマはゆっくりと顔をあげ、そして静かに口を開く。
「龍貴さん。そこまで私をかってくれて本当に有り難うございます。でも......何で私なんかに」
「色んな事やって、色んな奴と交わってると解るんだよ。そいつがどんな奴かって。
初めてエマを見た時から、ピンと来るものがあった。こいつとは何がなんでも一緒に仕事をしたいってな。一目惚れだよ」
一目惚れって、この人男なのか?
それに初めて会った時って......
私がずたぼろになって、この寺にやって来た時の事を言っているのだろうか?
あの情けない姿を見て、一緒に仕事したいなどと思うのは、よっぽどの物好きとしか言いようが無い。
多分...... よっぽどの物好きなのだろう。
「正直、自分に政治思想は有りません。今後の日本の為になどと言われても、全くピンと来ないと言うのが現実です。
でも......龍貴さん、それに『聖経院』は、帰る所の無い私に立派な居場所を与えてくれました。
その恩義にだけは報いたいと思っています。そうする事が恩義に報いる事になるのであれば......微力ながらお供させて頂きたい思います」
ちょっとあっさりOKし過ぎたか?
もうちょっと抵抗してからの方が、信憑性かあったのでは?
あまり簡単に承諾しすぎて、逆に怪しまれても面白く無い。
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