第十五章 四神

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しかしそんな心配が、取り越し苦労である事に気付くまでは、さして時間を要さなかった。 「よくぞ言ってくれたエマ! きっとそう言ってくれると信じてたよ」 龍貴はまるで、玩具を与えられた子供のような喜び方を見せている。 さすがにちょっと、自分を買い被り過ぎじゃ無いか? 逆に心配になってしまう。 「それで具体的に自分は何を......」 少し喜び過ぎていた龍貴は、ここで一旦呼吸を置いた。そしてゆっくりと話し始める。 「富士国には女だけの部隊が存在する。『白虎』『玄武』『青龍』『朱雀』の4部隊。どこも強者揃いだ。 それらを総じて我々は『アマゾネス』と呼んでいる訳だが......エマ、お前にはその一部隊を統括して貰いたい。 と言うのもついこの間、『玄武』の隊長が帰らぬ人となっちまってな。 東京で一仕事終えた後、呑気にすぐ近くのパスタ屋でパスタ食べてる所を警察に踏み込まれて、部下を逃がす為に手榴弾で自爆しちまった。現場の3件隣だそ。全くバカかあいつは...... この『玄武』は4部隊の中でも、とにかく血の気が多い暴れ馬揃いだ。並大抵の奴じゃ彼女らをコントロール出来ない。 と言う訳で、今日からお前が『玄武』の隊長だ。あとは任せたから好きにやってくれ。話は以上」 そこまで一方的に話し切ると、龍貴はグラスに残っていたワインを一気に飲み干し、そそくさと片付けを始めた。 「ち、ちょっと龍貴さん! 急にそんな事言われても私困ります!」
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