第十五章 四神

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橋の幅は人一人がやっと通れる程度。決して広くは無い。 退路が絶たれている代わりに、6人に囲まれて一斉攻撃を受ける心配も無かった。 2人づつ3回片付ければそれで済む話ではあるが、敵も決して土偶と言う訳では無い。むしろ精神的にも肉体的にも、それなりの訓練を受けた猛者と言っても過言では無かろう。 ジリッ、ジリッ...... ピンと張り詰めた空気の中、左右から摺り足で近寄って来る刺客。 エマは橋の中心で息を凝らし身構えた。 「あんたら......『玄武』か?」 エマは静かに問い掛けた。 「そう......『玄武』」 照り輝く月光を背に向けて、真っ黒のベールに包まれた『玄武』は至極冷静に答える。 「一体何しに来た?」 「......」 無言のまま、鋭い視線をエマに突き刺しながら、獲物を取り囲む肉食獣は、ジリジリと更にその間合いを詰めて行った。 飛び道具や刃物を持っている様子は無い。 と言う事は...... 私の力を確かめに来たってとこか。 さっき龍貴は『すぐに会えるだろう』 そのように話していた。 それがこう言う事って訳か...... だったらワイン飲ませるなよ。1杯にしておいて良かった。危ないところだ。 まぁ、いいや。面白い。 返り討ちにしてやろうじゃないか! エマの血圧は急上昇。元々こう言う戦い事は嫌いじゃ無い。 『富士国』の精鋭部隊『玄武』6人に対して、こっちはたったの1人。しかも少しワインが回ってる。ちょうどいいハンデだ。相手にとって不足は無い。
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