第十六章 仮面

2/27
前へ
/1040ページ
次へ
「美緒さん、こっちだ」 「いよいよね......」 襲い来る日本猿の一行を、一瞬にして葬り去った二人。 『極神島』におけるウェポン研究所は、1年前証拠隠滅の為、尽く破壊され、すでに跡形も残っていないはずだ。 にも関わらず、何でこのような場所に、遺伝子操作されたウェポンが居たのか? ウェポンの研究など、法治国家日本において、あからさまに活動出来るようなものでは無い。国家から半ば隔離されたような離島だからこそ、成し得た術と言えよう。 まさかこんな場所にも、ウェポンを生産出来る拠点があると言うのか?...... 『樹海』 そこは死後の世界との狭間。滅多に人が入り込まない結界が張られた土地だ。 そう考えると、秘密裏に何かを行うには、もってこいの場所と言えるのでは無いか。 まさかあの男がこの地に...... 二人が脳裏に浮かべた人物。それは他でも無い。秋葉秀樹だった。 遺伝子操作された日本猿。 即ちウェポンを目の当たりにすれば、どうしてもあの男の影がチラついてしまう。 1年前の記憶が走馬灯のように甦る二人だった。 そうこうしている間にも、やがて目の前には『マンタ洞窟』の入口が迫って来ていた。 ももがこの中に居る! そう思うと、居ても立ってもいられない。しかしそんな逸る気持ちを圭一は制した。
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加