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スライド式のその扉は、廃墟とも言えるこの通路には凡そ似合わない、実に近代的な造りをしていた。
扉のすぐ左横には、液晶パネル。恐らくこれが扉を開閉する制御盤なのであろう。
「美緒さん。パスカード」
「はい」
美緒は白衣男から奪ったパスカードを首から外し、圭一に手渡した。
圭一はすかさずカードを液晶パネルにかざす。
すると、
ピピッ。
パネルは甲高い電子音を立ち上げ、
そして、
ガー!
頑強な扉は見事横にスライドを始めた。
「よっしゃ!」
圭一は小さくガッツポーズ。
とりあえずは、第一関門突破と言うところだろう。
二人は忍び足で内部へと潜入を開始する。
中と外では大違い。実に近代的な造りだ。それまでの通路に比べると、目が眩むような明るさだ。
見たところ、防犯カメラの存在は見受けられない。ここに至るまでのセキュリティに過信しているのだろうか。二人にしてみれば、実に好都合だ。
『資料室』
最初に現れた部屋だ。中は暗く人気は無い。
資料室と言うだけあって、この洞窟に関する資料が置かれているのであろう。『研究所攻略本』とまでは言わないが、ヒントとなる程度の物ならば期待出来るかも知れない。
「まずは入ってみるか」
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