第十六章 仮面

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スライド式のその扉は、廃墟とも言えるこの通路には凡そ似合わない、実に近代的な造りをしていた。 扉のすぐ左横には、液晶パネル。恐らくこれが扉を開閉する制御盤なのであろう。 「美緒さん。パスカード」 「はい」 美緒は白衣男から奪ったパスカードを首から外し、圭一に手渡した。 圭一はすかさずカードを液晶パネルにかざす。 すると、 ピピッ。 パネルは甲高い電子音を立ち上げ、 そして、 ガー! 頑強な扉は見事横にスライドを始めた。 「よっしゃ!」 圭一は小さくガッツポーズ。 とりあえずは、第一関門突破と言うところだろう。 二人は忍び足で内部へと潜入を開始する。 中と外では大違い。実に近代的な造りだ。それまでの通路に比べると、目が眩むような明るさだ。 見たところ、防犯カメラの存在は見受けられない。ここに至るまでのセキュリティに過信しているのだろうか。二人にしてみれば、実に好都合だ。 『資料室』 最初に現れた部屋だ。中は暗く人気は無い。 資料室と言うだけあって、この洞窟に関する資料が置かれているのであろう。『研究所攻略本』とまでは言わないが、ヒントとなる程度の物ならば期待出来るかも知れない。 「まずは入ってみるか」
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