第十六章 仮面

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分岐に差し掛かる度、美緒はカメラに収めた『見取図』を確認し、進むべき道を選択して行った。 『見取図』ではそこまで読み切れなかったが、走り進んで行くと、この研究所は平面だけでは無く、かなりの高低差が生じている事に気付く。上がったり下がったりの連続だ。 一つの箱形の建物に、直線の通路か敷かれているような決して単純な造りでは無い。 大小様々な大きさの建物が、洞窟内に多数点在し、それを全て渡り廊下や階段で無理矢理繋げている。そんな印象だ。 因みに、今この場所において、外で大量の水が流れ落ちる音が響き渡っている。ザバーッ! そんな音だ。恐らくすぐ横には滝が流れているのだろう。 研究所の外に一歩出てしまえば、もしかしたらそこは手付かずの大自然が広がっているのかも知れない。 そんな洞窟内の大自然の高低差に合わせて、研究所を縦横無尽に張り巡らせているのだろう。 では一体...... なぜこのような場所に、このような大規模な『研究所』を建てる必要があったのだろうか? その答えは、人目に付く所に建てる事が出来なかったからに違いない。さぞかし大きな秘密がここには隠されているのだろう。それは想像に有り余るものがある。 それにしても...... この研究所の敷地は呆れる程に広い。もうすでに2kmは軽く走り抜けていた。 『見取図』と照らし合わせて見る限り、自分等が目指す『ビレッジ』まではまだかなりの距離がある。 山あり谷ありの通路における重い銃とリュック持参での長時間ランは、百戦錬磨の二人と言えどもさすがに堪える様子。徐々にペースダウンを始めていた。 いい加減足が縺れて来る。美緒が耐えきれず壁に手を付こうとしたその時だった。 圭一は突如フル稼働していた足に急ブレーキを掛けた。 「ちょっとストップ!」 すぐ後ろに続いていた美緒は、危うく圭一の背中に激突しそうになる。 「なっ、何なのよ!」 もう息絶え絶えだ。
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