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「しっ、黙って。誰か向こうから来るぞ」
二人はすかさず角の内側に身を潜め、息を殺した。
ウィーン......
何やら通路の先から、僅かな電子音が。そしてその音は、時間と共にどんどん近付いて来るでは無いか。
圭一は僅かに目だけを出し、その音の正体を探った。
「おっと美緒さん。ちょうどいいものがやって来るぞ。ほらっ、見てみん」
圭一はほくそ笑みながら、美緒に語り掛けた。
「いいものって......何よ」
そう問い掛けながら、美緒も目だけを外に出した。
「あら、これは助かるわね」
「だろ!」
見れば遥か遠く、通路の先から二人の白衣男がこちらに向かってやって来ている。
二人共に白髪頭の老人。凡そバトルには無縁。いかにも弱そうな博士と言った風貌だ。
その二人はなんと、涼し気な顔をしてセグウェイに乗っているでは無いか。
これを奪わない手は無い!
重い荷物を背負って疲れ切っていた二人にとっては、その姿がまるで神様のように見えたに違いない。
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