第十六章 仮面

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「しっ、黙って。誰か向こうから来るぞ」 二人はすかさず角の内側に身を潜め、息を殺した。 ウィーン...... 何やら通路の先から、僅かな電子音が。そしてその音は、時間と共にどんどん近付いて来るでは無いか。 圭一は僅かに目だけを出し、その音の正体を探った。 「おっと美緒さん。ちょうどいいものがやって来るぞ。ほらっ、見てみん」 圭一はほくそ笑みながら、美緒に語り掛けた。 「いいものって......何よ」 そう問い掛けながら、美緒も目だけを外に出した。 「あら、これは助かるわね」 「だろ!」 見れば遥か遠く、通路の先から二人の白衣男がこちらに向かってやって来ている。 二人共に白髪頭の老人。凡そバトルには無縁。いかにも弱そうな博士と言った風貌だ。 その二人はなんと、涼し気な顔をしてセグウェイに乗っているでは無いか。 これを奪わない手は無い! 重い荷物を背負って疲れ切っていた二人にとっては、その姿がまるで神様のように見えたに違いない。
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