第十六章 仮面

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ウィーン。  ウィーン。 暴漢がその先の角で隠れている事など知るよしも無い2台のセグウェイが、電子音を立ち上げながら呑気にやって来る。 10m、9m、8m...... そんな2台のセグウェイをほくそ笑んで待ち受ける悪魔。 獲物は何の武器も持たない老人が二人。押さえ込んでミノムシを作り上げる事など何の造作も無い。 5m、4m、3m...... 美緒さん飛び込む準備はOKか?...... 大丈夫よ...... アイコンタクトを交わす二人。余裕の表情だ。 2m、1m...... そしてその時は訪れた。 「よしっ、今だ!」 「えいっ!」 二人は影から一気に飛び出し、優雅にセグウェイを運転する二人の老人に襲い掛かった。 「なっ、なんだ?! お前らは!」 暴漢の出現に素早く反応する老人の二人。直ぐ様、セグウェイから飛び降り、空手の構えで待ち受ける。 真っ先に飛び込んで来た圭一の身体を、素早い身のこなしで軽くかわす。 「なっ、なんだと?!」 圭一は驚きの表情を浮かべたまま、バランスを崩し、そのまま老人の足元に倒れ込んだ。 一方、もう一人の老人はと言うと、倒れ込んだ圭一を軽いステップで飛び越え、後続の美緒に襲い掛かった。 美緒は考える暇もなく、本能的に銃を構える。 そして、 バンッ! 銃弾は襲い来る老人の髪の毛をかすめて、壁にめり込んだ。 突然の銃撃に、有り得ぬ身のこなしを見せていた二人の老人もさすがに一瞬の怯みを見せた。
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