第十六章 仮面

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気付けば『マンタ洞窟』全体がお祭り騒ぎ。アナウンスは洞窟中に鳴り響いていた。 時間と共に至る所から涌き上がって来る追っ手衆。今まで一体どこに隠れていたのだろうか。 まるで二人の出現を満を持して待っていたのでは? そんな錯覚にすら囚われるくらいだ。 「そこ左!」 美緒は後ろから圭一に声を掛けた。 「そこは下降りて!」 「突き当たったらすぐ右!」 立て続けに指示を送る美緒。圭一はただ美緒の指示に従うだけだった。 敵から逃げつつも、さっきから同じ通路を一度も通っていない。 まさか美緒さん『見取図』を一度見ただけで、この複雑な『研究所』の間取りを全部覚えたって言うのか?......いや、美緒さんなら有り得る話だ。 と言う事は......今俺達は目的地である『ビレッジ』にまっしぐらって事?! 走りながらも、圭一は驚きを隠せない。 すると、 「そこの角を左に曲がったら、3m位先に扉があるから、そこに入って」 実はここに何度も来た事がある?  そんな疑念が生じる程、美緒のナビは、具体的であり、また正確であった。 「あ、ああ......解った」 圭一は半信半疑のまま、美緒に言われた通り、角を左に曲がる。 すると案の定3m先に扉が一つ。それはかなり大きな扉だった。 後ろを振り返ると、人の姿は見受けられない。足音すら聞こえなかった。一時的ではあるが、追っ手の追跡を逃れたようだ。 『ビレッジ』 大きな扉の上には、そのような看板が掲げられている。 「ここが『ビレッジ』か?!」 「そのようね」
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