第十六章 仮面

26/27
前へ
/1040ページ
次へ
「逃がすな。追い掛けろ!」 バタバタバタ......  バタバタバタ...... 5人の『もも』達の前を、迷彩服を纏った守護兵達が、もの凄い形相で駆け抜けて行く。 そんな守護兵隊を目で追い掛ける『もも』達。 「ねえ、舞ちゃん。あたし達いつになったらお家に帰れるのかな?」 「実験が終われば、最後にピクニックに行ってその後すぐに帰れるらしいよ。この間先生が言ってた」 「わーい、ピクニックだ。ピクニックだ!」 喜びを露にする純真無垢な少女達。本当にピクニックなど行くのだろうか。 『舞ちゃん』と呼ばれた少女は、左頬の皮膚を指で引っ張りながら少女の問いに答える。 伸びたり、縮んだり...... 皮膚にしてはかなり柔軟性がある。それはまるで皮膚がゴムで出来ているかのようだった。 「あらら、舞ちゃん。ほっぺ引っ張ると、また先生に叱られるよ。あたし知らないからね」 「だって......これ嫌いなんだもん。顔にピタッてくっついて......気持ち悪い」 「...... 」 バンッ、バンッ、バンッ! 遥か遠くで銃声が聞こえて来た。『ビレッジ』の中のどこかでバトルが始まったのだろう。 「あれれ、おじさん達も鬼ごっこ始めたんだね。あたし達も続きやろうよ。わーい、逃げろ、逃げろ!」 「まてー、まてー!」 全身に仮面を被せられた少女達は『マンタ洞窟』の中心『ビレッジ』で無邪気に鬼ごっこを再開する。
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加