第十六章 仮面

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この少女達もきっと『もも』のように、各地で誘拐され無理矢理連れて来られたのだろう。 いくらたわいの無い少女とは言え、この洞窟に一度入ってしまったら、二度と生きて外に出れる事は無い。 残念ながら、純真無垢な少女達がそんな事を知るよしも無かった。 『大人しく言う事を聞いて、実験が終われば家に帰れる』そう信じて止まなかった。 『人体実験』が終われば、この少女達はピクニックと称して『マンタ洞窟』の一番奥に位置する焼却炉へと連れて行かれる。 そこで、おのみなこと出くわす前に、何としてもこの実験を止めさせなければならなかった。 では一体なぜこのような意味不明な実験が、このような意味不明な場所で行われているのだろうか? 以下はあくまでも『たら、れば』の話である。 もし......誰かをこの世から抹殺し、その者に成り替わる事が出来たら、その者は死んだ事にならないのでは無いか? もし国を動かせる権力者に、全く違う思想を持った人間が成り替わったとしたら...... この国は変わってしまうのでは無いか? 『富士国』と『秋葉秀樹』 共通の利益を見出だしたこの両者が手を組み、正に今、事を起こそうとしていた。 Xデーはすでに秒読み段階に入っている事など、一体日本国民の誰が知り得る事だろうか。
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