第十七章 玄武

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突如背後の山上から激しい音が立ち上がり、その音が俄に近付いて来るではないか。更に地盤はブルブルと巨大地震の如く揺れ始めている。 バキッ、バキッ、バキッ! 更には大木がなぎ倒される音がそこに加わる。 「「土砂崩れだ!!!」」 「ダッ、ダメだ......終わった!」 ゴー!...... バタバタバタッ!...... バタンッ、ガタンッ!...... ボコボコボコッ!...... ............ ............ 一方その時『野戦病院』では...... 「たっ、大変だ! 頭と『黄』が土砂に呑まれたぞ! 助けなければ!」 「ダメだ! もう無理だ。今行ったらうちらまで呑み込まれちゃう......」 「もうこうなっちゃうと、どうしようも無い」 「頭っ!」 「黄っ!」 エマの指示の下、拠点を移動し、土砂の直撃を逃れた『玄武』の衆は皆慟哭の表情を浮かべ、成す術も無く山上を見上げていた。 本日最大とも言える土砂崩れを回避出来たのも、それは正にエマの冷静な判断があっての事。エマは正に救世主と成り得ていた。 そして多くの人命を救ったその救世主は、今『黄』とその娘と共に厚い土砂の下。絶望的な状況だ。 『赤』『橙』『緑』『青』『紫』の5人は、自然の脅威に対し、正に無力。何もする事が出来なかった。 「ダメだ、この場所も危険だ。すぐに次の土砂崩れが始まる。無念ではあるけど、今すぐ村民を連れて引き上げる」 『赤』は断腸の思いで、実に現実的で冷静な判断を下した。
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