第十八章 獅虎豹鷹 朱雀 

3/21
前へ
/1040ページ
次へ
「いやビックリデス。圭一さんのお祖父サンとお祖母サンが樹海で温泉旅館やってるナンテ誰も知りませんデシタ」 ポールがビール片手に、意外な表情で語る。 「まぁ、灯台下暗しってとこですな。連中もまさか我々がお膝元の樹海に潜んでるとは夢にも思わんでしょう」 ビール片手のポールに対し、マスターは赤ワイン。それはそれでまた絵になる。 「ところであの二人さっきから見えないけど、どこ行ったのかしら?」 麗子はお目出たくも無いのに、何故かシャンパンをがぶ飲みしている。女王のプライドでもあるのだろうか...... 「昨日カラ合流したアノ若者......名前ナンテ言いましたッケ?」 ポールは少し赤ら顔だ。普段『BAR SHARK』でバーテンやってる割りには、余り酒は強い方では無い。 「健介君でしょう。多分未来君と湯上り処で卓球でもやってるんじゃ無いですか。それにしても美緒さん......よく彼を許しましたね。自分の娘誘拐した実行犯ですよね」 「アア見えて優しいんデスヨ。美緒サンって言う人ハ」 「そんなもんですかねぇ....... 」 「ソンナもんデス...... そうだマスター、折角温泉旅館に来たんだから、風呂行きマショウヨ。源泉掛け流しデス。麗子さんも行きマセンカ?」 ポールはグラスをテーブルに置きながら、シャンパン女王に問い掛けた。 「あなた達だけで行ってらっしゃい。シャンソンの女王が盗撮なんてされたら名前に傷が付くわ」 麗子は尚も一人晩酌でシャンパンを流し込み続けている。 「ヘイヘイ......」 「まぁ、ご自由に......」 ............ ............ ............
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加