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4人の浴衣女子が去った後の湯上がり処は、まるで嵐が去った後の静けさ。ひっそりとしていた。
「さぁ、風呂行きまショウ」
「行こう、行こう」
浴衣女子に続いて男4人衆も、冷えた身体を温めるべく湯上がり処を後にした。
一体あの4人は何だったんだろう?
自分等と同じ浴衣を着てた訳だから、この温泉宿の宿泊客に間違いは無いと思うけど......
とにかくこの首からぶら下げた御守りに異常な興味を示していた。
出雲大社と行ったら、誰もが知る日本で最もメジャーな神社の一つだ。そこで買った御守りなど決して珍しくは無い。
よく解らん......
もう忘れよう......
そんなモヤモヤ感が頭から離れない未来と健介の二人は、互いに顔を見合わせ今度はヒソヒソ声で会話を始めた。
「ところであのお姉さん達さぁ、妙に指長くなかったか?」
「背が高いから、比例して指も長いんじゃん」
「そっか、そう言う事か。なるほどね。それはそうと......俺達互いに名前呼び合ってたっけ?」
「えっ、卓球やってた時だろ? 呼び合って無かったと思うけど」
「そうだよな......」
「それがどうした?」
「何で俺達の名前知ってたんだ?」
「解らん」
「......」
湯上がり処と露天風呂を繋ぐ渡り廊下をせっせと更に歩を進めていく男4人衆。
アマゾネスの『朱雀』は、この時未来の首にぶら下がる『御守り』にロックオンを完了していた。
『富士国』の秘密がインプットされたメモリーカードが眠るその『御守り』に......
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