第十八章 獅虎豹鷹 朱雀 

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   ※  ※  ※ 「ゴクラク、ゴクラクですね......」  ポール曰く。 「生き返るわ......」  マスター曰く。 「骨身に染みる......」  未来曰く。 「股間が染みる......」  健介嘆く。 小雪が舞う源泉掛け流しの露天風呂は、彼らにとって正に天国とも言えた。 岩に囲まれた20畳程の露天風呂に、惜し気も無く大量に注ぎ込まれる湯は、pH値1・5の強酸性を誇り、全国でも有数の白濁湯と成り得ていた。 「染みる......」 股間を押さえて、ヒリヒリに絶える健介。あれだけ美緒に股間を蹴り上げられたのだ。強酸性の湯に浸かれば染みるのも当たり前。長湯すると傷が悪化する。 そんな20畳の露天風呂......旅館の規模からするとそれなりの大きさと言えた。 小雪が舞う中、灯籠のような薄明かりに照らし出されたそんな露天風呂の空間は、正に神秘的であり、幻想の世界に入り込んだかのような錯覚に囚われる。 ポール マスター 未来 健介 そしてなぜか...... 日本猿の親子 4人と2匹が足を伸ばして寝っ転がっても、決して狭さを感じさせない実に贅沢な露天風呂だ。 真っ赤な顔をした日本猿ではあるが、目までは赤くない。ウェポンで無いのは幸いだ。 「この猿、やけに湯慣れしてるな。全然人間恐れてないぞ」
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