第十八章 獅虎豹鷹 朱雀 

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ピー、ピー、ピー! 突如4人の持つスマホから、耳に障る電子音が一斉に響き渡った。 何事か?! 運転に集中する『頭』以外の3人は慌ててスリープ状態のスマホ画面にタッチした。 彼女らのスマホに同時に届いたのはラインだった。 電子音3回は本部からのラインと決まっている。画面を見ずともそれがそれである事は『頭』も理解していた。 「内容は?」 「『頭』、立て続けに仕事です! 今度は『スパイ狩り』です!」 後部座席の『鷹奈』は顔を紅潮させて叫んだ。 「『スパイ狩り』だと......そうか。よし解った。場所は? それで面は割れてんのか?」 『頭』アクセルを更に踏み込みながら、情報を問う。 「場所は『聖経院』より北に約1㎞の地点。樹海の森の中でアジトが見付かったようです。獲物の顔写真が送られて来ています。これです」 『豹音』が後部座席からスマホを『頭』に手渡した。 画面を見れば頭は丸坊主。着ている服からして、尼に間違い無い。 「尼か......若いな。聖経院か?」 「書かれている情報に寄ると、公安から潜り込んで来た者らしいです。見付け次第殺せとの命令です。あとこの指令はうちら『朱雀』だけじゃ無く『玄武』にも下されています。『玄武』に先を越されたら大変です。急ぎましょう!」 「『玄武』だと......『頭』が死んだと思ったら、次の『頭』もあっと言う間に死んじまったあの部隊だろ? 恐れるに足らん」 「いや、侮れませんよ。今度の『頭』......確か『赤』て言ってましたっけ。人望も厚く、かなりの切れ者だともっぱらの噂です。油断は出来ません」
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