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「5人共に標本との誤差は最大で0・5mm以下。目標値の1mm以下を大幅に下回っています。達成です!」
「ウォー、やったぞ!」
「やっぱ俺達は天才だ!」
4人の博士達は共に功績を称え合い、綻んだ顔で握手を交わす。
最も子供っぽく見えない初老の男達が、幼き子供のように手放しで喜んでいるそんな様は、滑稽にも思え、また微笑ましくも思えてならなかった。
モニターに映し出された5人の少年......
切れ長の目
虚ろな瞳
バランスが整った顔
物差しで計ったような五頭身
スラリとした背筋
それは別モニターに映し出されたコンピューター製作のCG3D画像と、割札を合わせたかのように完全に一致していた。
瓜二つとか、似ているとか、そんな世界のレベルでは無い。文字通り『完全一致』この状態を説明するのにそれ以上的確な言葉は無かった。
「まだ安心するのは早いぞ。第一関門をクリアーしただけの話だ。この状態で通常生活1週間。その後の誤差が重要だ。1mm以下に止まっていなければ成功とは言えない。気を引き絞めていけ。いいな」
「了解です!」
「......
「......」
リーダー博士からそう念を押された各々の顔は、再び引き締まりを見せる。
これまでもこの第一段階でそれなりの数値は弾き出していたが、結局この後、時間と共に誤差の広がりが増して行き、プログラミングの修正を余儀無くされ続けて来ていた。
今度こそは!
毎回そのように思ってはいるだが、どうもその後宜しくない結果が続いていた。
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