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「はあ......」
「ふう......」
研究も取り敢えずは成功と言う形で収まりを見せ、漸く安堵の表情を見せる博士の二人だった。
彼らの研究に失敗は許されない。上から用済みと判断されれば、良くて『モルモット』。悪くすればいきなり焼却炉へのピクニックが待ち受けている。
どんな経緯で彼らがここにやって来たかは不明だが、きっと望んで来た訳では無いのだろう。
騙されたか、脅されたか......
凡そ、そんなところじゃ無かろうか。
やがて慌ただしかった『コピー室』に、久方ぶりの静けさが訪れる。
しかし......
そんな長閑な時間は長く続かなかった。
ビー、ビー、ビー!
ビー、ビー、ビー!
突如『コピー室』に鳴り響く警報音!
その音は正に鼓膜を破りかねない程の大音量だった。二人の博士の身体に突如電撃が走る。
「なっ、なんなんだ?!」
「一体どうしたってんだ?!」
訳も解らずに、ただ右往左往する二人。
ここにやって来てからと言うものの、警報が鳴り響いたなどと言う事は過去に一度も無かった。警報に対しての免疫が全く出来ていない。
警報設備の故障?
それとも何かの訓練?
一瞬そんな楽観的な憶測が脳の中で多数派を占めそうにもなるが、神は彼らに対し、それほど寛大では無かった。
警報音に続き、絶望的なアナウンスが館内に流れ始める。
『洞窟内に侵入者あり。侵入者は現在ビレッジを抜けて研究棟内を逃走中。守護兵は直ちに研究棟へ集結し、侵入者を捕獲せよ。侵入者は武器を持っている。注意せよ! 繰り返す。洞窟内に侵入者あり......』
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