第十九章 コピー

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この大要塞とも言える『マンタ洞窟』にたった二人で潜入し、今や追われ身の立場であるにも関わらずこの余裕綽々な態度。 頭がおかしいのか? よっぽど自分らに自信があるのか? そのいずれかしか無い。 ただ見たところ、決して頭がおかしいようには見えなかった。 この『マンタ洞窟』の中に造られた施設は、正に自然の気まぐれを最大限に活用した天然の大要塞と言っても過言では無い。 そんな大要塞に施されたセキュリティは、それこそ最先端を誇り、猫の子一匹すら入り込む隙は無い。 仮にセキュリティを潜り抜ける事が出来たとしても、自衛隊顔負けの私設軍隊がここには存在している。 この二人が今ここに居ると言う事は、それらの関門を突破して来た以外には考えられ無かった。 この余裕な態度は決してハッタリでは無い! そう判断せざるを得ない。 二人の博士は互いに顔を見合わせた。何か言いたい事でもあるのだろうか。  やがてリーダー博士がゆっくりと口を開いた。どうした事か先程までの狼狽えた様子はすでに消え失せている。何か心境に変化があったのかも知れない。 「その前に君達の方から先に答えてくれ。返答次第に寄っては、全てを話す事も可能だ。もう一度聞く。君達は何者なんだ? 何しにここへやって来た?」 今度は侵入者の二人が顔を見合わせた。 美緒さん、どうすっか? そうねぇ......いいんじゃない? まぁ、いいっか......よかろう......
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