第十九章 コピー

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美緒も圭一も、誤解され易い部分は多いが、人間誰しもが本来持ち合わせている『優しさ』を加分に持った人間である事は間違い無い。 家族と突き放され、こんな地下で長期に渡り、望まない研究を強いられていたとあらば、多少なりとも同情の念にかられる部分がある。 「安心しろ。お前達を必ずここから出してやる。でもあんまり時間が無い。まずは俺の質問に単直に答えろ。さっきお前らが言っていた『コピー人間』って一体なんなんだ?」 この『マンタ洞窟』の核心に触れる大事なところだ。思わず圭一は身を乗り出した。 「正に言葉の通りだ。そこのガラス越しに下を見てみろ。部屋が5つあるだろう。 あの部屋の中に入って、このスイッチを押すと、予めコンピュータにインプットされた情報通りにゴムの微粒子が吹き掛けられ、3分足らずで別人が出来上がる。つまりそれがコピー人間と言う訳だ。 コピーを繰り返せば、何人でも同じ人間を作る事が出来る。正に画期的な機械ではあるが、使い方に寄っては実に危険な機械にも成り得るだろう」 リーダーは腕を組んで、要点のみを簡潔に答えた。 「けっ、圭一さん! さっき『ビレッジ』に居た大勢のももちゃん達って!」 美緒が博士の話を聞き、思わず叫び声を上げた。 「美緒さん、今の話からしてまず間違い無いだろう......おい、最近5歳位の少女のコピー作ったか?」 恐らく返って来る答えは一つしか無い。解ってはいるが聞かずにはいられなかった。
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