第十九章 コピー

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「おかっぱ頭の小さな少女の事か? その子だったら確かにコピーを行った。6日前の話だ」 「6日前だと?! で、その少女は今どこに居るんだ?!」 圭一は両の拳を力強く握り締め、思わず身を乗り出した。 「その様子だと、あんた達の大事な少女なのか?......そうか......そうなのか......いや、今ならまだなんとか間に合う。でも......あと1日だ」 過剰とも取れる圭一の反応にリーダーは圧倒されたのか、一歩引いたような答え方だ。 「ちょっと、ちゃんとこの人の質問に答えなさいよ。今どこに居るって言うのよ! それからあと1日って......それはどう言う意味なの?!」 美緒は居ても立ってもいられない。正にそんな表情だ。 「研究の経過観察の期間は1週間。それが終われば即日殺処分が実行される。違法研究の証拠隠滅と言う訳だ。その子のコピーが行われたのは6日前だから、殺処分はちょうど明日、夕刻5時だ。その時間に狂いは無い」 「「なっ、なんだって!!!」」 美緒と圭一が感電したかのような驚きを見せた正にその時だった。 プシュー...... 何やら、どこからか、何かが、放射されたような音が...... 「えっ、何の音?」 「どこからだ?」 四人は訳も解らず四方を見回しその音の出所を探す。博士の二人も焦ってそれを探しているところを見ると、今起きている状況を把彼らも握していないようだ。 「おっ、あそこだ!」 そう声を上げた圭一は、何やら天井を指差していた。
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