第十九章 コピー

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「ちょっと何よあれ。天井から白い煙が吹き込んでるじゃない! あんた達知らないの? ここに住んでるんでしょ!」 美緒は目くじらを立てて問い詰める。苛ついた時によく見せる表情だ。 「別に住んでないし、あんなの見た事も無い。一体何が起こってるんだ? それよりも......なんだか......」 言葉の途中で博士は急にふらつきを見せる。そしてとうとう身体を支えきれずに思わず壁に手をついた。 「美緒さん...... なんか目が回って......」 訳も解らず圭一も地に膝をつく。 「ちょっとやだ......目が霞んで......」 もはや美緒は床に倒れ込んでいた。 天井の吹出口から勢いよく噴射される白い煙のようなものは、瞬く間に『コピー室』全体に広がっていった。 「くっそー......催眠ガスだ......」 そして、バタッ。 圭一は意識を失い、遂に地に倒れ落ちた。見れば博士の二人もすでに動かなくなっている。 「ダメ......ももちゃんを......助けないと.......明日殺されちゃうのに......こんなところで......負けてられ......」 バタッ。 美緒も圭一達に続き、とうとう地に倒れ落ちた。 すると、四人の意識が無くなるのを待っていたかのように、突如『コピー室』のスライド扉が開放を見せる。 そして、 バタバタバタ...... 複数の乱雑な足音が『コピー室』を蹂躙していった。
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