第二十章 隠者の村

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.................. .................. 「えいっ!」 「てやぁ!」 「そりゃあ!」 村の中でも一際大きく見える瓦屋根の大邸宅。そこの大部屋で、女性は今も静かに眠っている。 広い庭では、今日も日課の如く小さな子供達が元気に『組み手ごっこ』に精を出している。 『富士国』の村の子供達は、幼い頃から皆当たり前のように遊びとして『組み手』を嗜んでいた。 世界中にサッカー少年、野球少年らが居るのと同じく、この地には組み手少年、そして組み手少女が複数存在していた。 それら少年少女が今日も立ち上げる「えいっ!」「やぁー!」そんな気合のこもった声が、静かに眠り続ける女性の耳に届いたのかどうか? それは解らないが、女性は明らかな変化を見せ始めていた。 障子の隙間から差し込む日の光は、いつの間にか眠り続ける女性の顔を照らし始めている。 「うっ、うっ......」 口から漏れる僅かな呻き声......それは彼女の覚醒が始まった事を示唆していた。 やがて二つの瞼は徐々に震え始め、それまで凍り付いたかのように固まっていた五本の指は、僅かな動きを見せ始めている。 そして照り付ける日光に導かれるかのように、二つの二重瞼は大きく見開かれた。 それは...... 『EMA探偵事務所』の代表 百戦錬磨の『GOD』 そして、 泣く子も黙る『アマゾネス 玄武』の『神』 この両者が同時に乱世に舞い戻って来た正にその瞬間だった!
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