第二十章 隠者の村

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アマゾネス? 果て?  ここはブラジルか?  いや確か静岡県って言ってた筈だ。 それはさておき...... 『死んでヒーローになる』その言葉だけは聞き捨てならない。 まだ右も左も解らないこんな小さな子供が、本気でそのような事に美徳を感じているようであっては、近い将来、必ず取り返しのつかない事を仕出かす。 牧子の顔から笑顔が消えた。 「へぇ......お嬢ちゃん『アマゾネス』? に入りたいんだ。目標を持って頑張るのはいい事だよ。でもね......生きていてこそヒーローに成れるんじゃ無いかな? 死んだらヒーローになんか成れないと思うよ」 牧子はその場にしゃがみ、少女の視線に合わせて言い聞かせた。 子供に上から目線で物事を押し付けても、心を靡かせる事は出来ない。同じ目線で対等に話してこそ、心を通じ合える......牧子はそのように考えていた。 すると少女は...... 「お姉ちゃんはまだ子供ね。あたし達は『富士国』に命を捧げる為に生まれて来たんだよ。もっと勉強しないとダメね」 「僕達は、生まれた瞬間から『富士国』に命を預けてるんだ。お姉ちゃんそんな事も知らないの? 大人なのに」 それまでにこやかな笑顔に包まれていた子供達の顔が急に険しくなる。牧子の言に反感を持ったようだ。
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