第二十一章 Dr.八雲 

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「申し遅れました。私は『アマゾネス 玄武』の『赤』と申します。一昨日の嵐以降、行方不明になっている我が長を探しています」 「『アマゾネス』のお方でしたか。これは大変失礼致しました。あなたが今申された『玄武』のお頭様は、部下の親子を救うが為に命を落とされ、すでに神になられた......そのように認識しておりましたが」 勝也は聞いたままの話を、そのまま『赤』なる者に伝えた。 「確かに世間一般では、それが既成事実のよう伝わっています。 しかし行動を共にしていた我々だからこそ解るのですが、あのお方はそう簡単に命を落とすような柔な方では有りません。 必ず今もどこかで生を長らえていると信じております。あのお方のご遺体が発見されるその日まで、我々『玄武』はお姿を捜し求め続けるつもりでいます」 そう語った『赤』の目には、うっすらと涙が浮かび上がっていた。 「さすが『玄武』の頭をお務めになられたお方......皆様のご信頼も厚かったようですね。 解りました......我が『羽黒家』は、先祖代々村長を務める由緒有る家柄です。 私から村民に喚起を促し、村を上げてお頭様の捜索に協力させて頂きましょう」 勝也も『赤』の涙に心を動かされたようだ。『玄武』の頭の捜索に全面協力する約束を交わした。 「あ、有り難うございます。早速ですが、これが我が長の顔写真です。『聖経院』出身者の為、頭を丸めています。ですので、非常によく目立ちます」 そう話ながら、『赤』は一枚の写真を勝也に手渡した。
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