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「ほ、ほう......確かに女性でこの頭は目立ちますね。わ、解りました。何か情報が入ったら、す、すぐにお伝え致します。私はちょっとまだ仕事が残っているのでこれで失礼します。それでは」
勝也は何故か突然話を切り上げて『赤』に背を向けた。何をそんなに焦っているのだろうか?
「あ、ちょっと待って。言い忘れましたが、この後私は村の家を一軒一軒写真を配って回ります。
我が長を見た人が居るかも知れませんので。一応ご了承下さい......それでは協力感謝致します。失礼」
『赤』は小さく頭を下げると、直ぐ様勝也に背を向け、玄関のガラス戸に手を掛けた。
すると勝也は脂汗を飛ばしながら、必死の形相で『赤』を呼び止める。
「そっ、そんな事は私に任せて下さい。『アマゾネス』様の手を煩わす程の事では有りません」
勝也はそう告げながら、慌てて『赤』から写真の束を奪い取った。親切の押し売りこの上も無い行動だ。
天下の『アマゾネス』を前にして、それは正に暴挙とも言えた。よっぽど村人達に聞き込みをされたく無いのだろう。
一瞬驚きの表情を浮かべる『赤』ではあったが、直ぐに冷静さを取り戻す。
「そうですか......それではお言葉に甘えて、この件はお任せ致します。どうぞ良しなに」
そう言い残すと、『赤』は颯爽と『羽黒家』を去って行った。
ハァ、ハァ、ハァ......
ハァ、ハァ、ハァ......
勝也は『赤』が去って行った途端、突然肩で苦しそうな呼吸を始めた。見れば顔が真っ赤だ。極度の緊張に寄り、過呼吸を起こしたのだろう。
牧子! 誰が何と言おうとお前は俺の妻だ!
絶対に誰にも渡さん!
例えお前が......お前が......
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※ ※ ※
おお、エビフライがいい色になったぞ......
これは美味しそう......
お母さんも、勝也さんも喜んでくれるかな?
超楽しみ......
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