第二十一章 Dr.八雲 

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「おい、俺の声は聞こえてんだろう。お前にはまだ死んで貰っちゃ困るんだ。大体いつまで羽黒家の嫁やってるつもりなんだ?」 八雲は忙しく手を動かしながらも『牧子』の耳元でそのように囁いた。 「う、う......私は......羽黒家の......牧子」 八雲の声が耳に届いたのだろう。唇を震わせながら必死に反応する。 「違う、お前は牧子じゃ無い。柊恵摩だ。極神島で俺の事業をぶち壊した飛んでも無い野郎だ。俺の名は秋葉大地。まだ思い出さんのか?!」 「極神...島......柊...恵摩?......」 「そうだ。ひ・い・ら・ぎ・え・ま・だ」 「違う......私は......ま・き.......」 『牧子』はそこまで言い掛けると、吸い込まれるように瞳を閉じた。薬の影響だろうか......深い眠りに就き、暫く目を覚ます事は無かった。 1年前の極神島事件...... それは権力と財力にものを言わせ、あらゆる悪事を繰り広げていた秋葉兄弟と、エマ率いる『EMA探偵事務所』の総力戦とも言えるバトルだった。 秋葉兄弟とは...... ◆秋葉秀樹(弟)   ☆政界最大野党   『新党富士』総裁  ☆生物兵器商社   『RED GROVE COMPANY』   代表取締役 ◆秋葉大地(兄)  ☆秘密裏に臓器売買を行う大病院『秋葉会』   代表取締役  ☆カルト集団『極神教』   大神主(代表) そんな二人を指す。
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