第二十一章 Dr.八雲 

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お前の記憶喪失は、頭を打った事による一時的な症状に過ぎない。脳に強い刺激を与えればすぐに戻るだろう。 強い刺激か...... 果て、どうしたものか...... ............ ............ よしっ! 思い付き 即行動! それが、大地の行動指針であり、過去に結果凶と出た試しは無い。 (※以降、八雲医師は秋葉大地と表現致します) 大地は薬品庫から何やら液体の入った瓶を取り出し、緑茶の入ったペットボトルに数滴垂らす。 フッ、フッ、フッ...... この男がそんな不敵な笑みを浮かべる時は、その後必ずと言っていい程、飛んでも無い悲劇が起きる。 極神島において、何の罪も無い人間を誘拐しては臓器を抜き続けて来た男だ。 人の命など、何とも思っていない事は明らかだった。 大地はペットボトルのキャップを絞めながら、更なる思考を巡らす。 『富士国』に潜入して、大方の情報は入手出来た......そろそろ引き際と思っていたところだ。 ちょうどいい頃合いだ...... 集めた医療機器には、ちと未練が残るが『復讐』の為だ。致し方無い...... 大地は意を決すると、杖を突き立ち上がった。そして待合室へと歩を進めていく。 一体この男は、これから何を仕出かそうとしているのだろうか?  『牧子』を『エマ』に戻す為の行動である事は間違い無いのだが......
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