第二十一章 Dr.八雲 

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「おやおや......安心し過ぎて寝ちゃいましたか? こんな真冬に、床なんかで寝たら風邪引きますよ。しょうがない......暖めてあげましょう」 ニタニタと笑いながら、深い眠りに落ちた勝也を見下ろし、そんな不敵な言葉を投げ掛ける大地。 勝也を薬で眠らせ、これから一体何を仕出かそうとしているのだろうか? その意は全く持って不明だ。 大地は勝也の身体を杖で小突いてみる。微動だに動かない。完全に眠ってしまったようだ。 よしよし...... たった2滴で熟睡か...... 流石、俺が調合した睡眠薬だけの事はあるな...... 大地は満足仕切ったドヤ顔を崩す事無く、徐に白衣のポケットから無色透明の瓶を取り出した。ラベルには『ベンジン』と書かれている。 「寒いだろ。すぐに暖めてやるからな」 大地はそう呟くと、満タンに入った『ベンジン』を勝也の身体に振り掛けた。揮発性の高いその液体は、俄に強烈なその臭いを周囲に広げていった。鼻につんと来る。 そして...... ............ 大地は...... ............ ライターに...... ............ 火を...... ............ 灯した。 ............ 『牧子』を『エマ』に戻す為...... 大地がこれから行おうとしている『エマの脳への強い刺激』...... それが何なのかは、もう疑う余地が無かった。 「お休み......坊や!」
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