第二十一章 Dr.八雲 

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おお、いかんいかん......楽しんでる場合じゃ無い! 大地は突然我に返ると、義足を引き摺りながら『牧子』の眠る『診療室』へと足早に戻って行く。 そして何を思ったのか、静かに眠る『牧子』の頬を...... パンッ、パンッ、パンッ! 「おい起きろ、朝だぞ。いつまで寝てんだ。目を覚ませ! ほらっ、早く起きろ!」 パンッ、パンッ、パンッ! なおも平手打ちを喰らわせ続ける大地。 すると...... 「ん?」 『牧子』は眉間にシワを寄せながら、小さな呻き声を上げ、ゴソゴソと身体を動かし始めた。どうやら覚醒を始めたようだ。 「せっかくお前の為に火を放ったんだ。早く起きてくれないと意味が無くなっちまうだろ。ほらっ、起きろ、起きろって!」 そう怒鳴りながら、大地は『牧子』の肩を大きく揺らす。 やがて『牧子』の目は大きく見開かれた。 「あなたは?......」 「俺か? 秋葉大地だ。じきに思い出すんじゃ無いか?......そろそろ俺は退散するぞ。記憶が戻ったらしっかり働いてくれ。頼んだそ!」 『牧子』にそう言い残すと、大地は取るものも取らず、一目散に裏口から外へと飛び出して行った。 秋葉大地?  今のは八雲先生じゃ...... 八雲先生...... と言う事は......ここは診療所?  顔は八雲先生だったけど何だか別人みたい。昨日、腕の治療に来た時と全然雰囲気が違う。 それにしても...... 何をあんなに急いでるんだろう?
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