第二十一章 Dr.八雲 

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あっ! 今後ろから歩いて来る人...... あれ牧子じゃない! あなた生きてたのね! 何で黙ってたのよ。 ほら牧子...... 勝也がここに居るわよ。 「牧子!」 母は突然視線を後方に移し、指揮官の後ろを通り過ぎようとしている女性に声を掛けた。 「私の事ですか?」 右手に包帯が巻かれたその女性は、何事かと振り返る。 母の言うように、牧子の遺影と、どこと無く雰囲気は似ているが、それは牧子では無く正確に言うと『牧子』だった。 「牧子! あなたは生きてたのね。勝也が......勝也が......」  ※  ※  ※ (※ここからは『牧子』を『エマ』に戻します) 牧子? 私の事をそう呼んでるみたい。 この人誰だろう...... なんか見た事あるような気はするんだけど...... 記憶が混乱していてよく解らない。 きっと人違いだろう...... 「すみません。私は牧子と言う名ではありません。人違いされているのでしょう。失礼します」 そう話しながら、エマは足早にその場を通り過ぎて行った。 「牧子! 待って牧子! 行かないで!」 母にとっては実に非情な話ではあるが、実際の牧子は既に2年前死去している。残念ではあるが、それが現実だ。
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