第二十一章 Dr.八雲 

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一体自分は何日無駄にしていたのだろう...... 3日か? 5日か?  いや、それ以上か? 正直、そんな事すら解らない。 圭一、美緒、ポール...... お前達は今、どこでどうなってるんだ? 土砂崩れに呑み込まれた時以降の記憶が全く無い以上、そんな事を知る訳も無かった。 とにかく急がねば...... 焦る気持ちから、すがり来る老婆を振り切ったエマは、どこに向かえばいいのかも解らぬまま、群衆の間を掻き分け、歩み進んで行った。 すると...... ガガガガガ...... 1台のリムジンが、颯爽とエマの前に現れた。 なんだこの派手な車は?! リムジンはエマを待ち受けていたかのように、目の前で停止した。 それは山間の村には凡そ似合わない『超』が付く程の高級車だった。 それまで燃え盛る診療所ばかりを眺めていた群衆は、一斉にそのリムジンに視線を集め始めた。とにかく目立つ。 村民からして見れば、恐らくテレビか写真くらいでしかそんな車を見た事は無かろう。 やがて後部座席の扉が開き、二つの影がエマの前に現れた。 そしてその二人がゆっくりと口を開く。 「その髪型も......お似合いです」 「お迎えが遅れて悪しからず......」
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