第二十一章 Dr.八雲 

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「お頭、お待ちしておりました!」 「お頭、お帰りなさい!」 エマの目の前に颯爽と現れたのは、他でも無い。『玄武』の『赤』、そして包帯だらけの『黄』だった。二人共、目に涙を一杯溜めている。 またこいつらの所に逆戻りか...... 思わず気が重くなるエマではあったが、まだ何ら有力な情報を入手していなかった。 更には、不本意にも記憶を失い、貴重な時間を無駄に過ごしてしまった矢先。 遅れを取り戻す為にも、ここは再び『富士国』の中枢、即ちアマゾネスに潜り込む以外に道は無かった。 「おう、『黄』お前生きてたのか?! それと......そうだ! お子さんは? お前のお子さんは無事だったのか?!」 エマは突然、土砂に埋まった時の事を思い出すと、血相を変えて『黄』の娘の身を案じた。 「はい、手足に多少の怪我は負いましたが、命に別状は有りません。お頭が......最後まで見捨てないで居てくれたお陰です。もう......何と言ったらいいのか......」 『黄』は肩を震わせて涙を流している。 「そうか......無事だったか。それは良かった......」 エマはホッと胸を撫で下ろし、久方ぶりの笑顔を見せた。 そんなアマゾネスとエマの会話を、逐一聞いていた村人衆。なぜだか至る所でゴソゴソとざわめきが始まった。 「おい、記憶喪失で騙されてた女性って......『富士国』の守り神『アマゾネス』のお頭様だったのか?! そんな事聞いてないぞ!」
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