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一方、村人達はと言うと......
「羽黒の婆さん! よくもアマゾネスのお頭様を騙したな!」
「自分達のやらかした事が解ってるのか!」
「覚悟は出来てるな?!」
気付けば村人達は、勝也の亡骸とその母を取り囲んでいた。今にも襲い掛かりそうな一触即発の状況だ。
子を亡くした母の命も風前の灯火......
そう言わざるを得なかった。
母は顔を上げ、もはや暴徒と化した村人達をゆっくりと見渡した。
村人達の容赦無い追求に対し、この母は一体どのように弁明するのか? 皆、気色ばんだ顔でそれを待ち受けた。
やがて母は重い口を開く。
「何も言う事はありゃせん。あたしゃ大事な勝也を失った......もう生きててもしょうがない。どうにでも......好きにしてくれ」
そう言い放つと、母はゆっくりと立ち上がる。
母の顔は驚く程に澄みきっていた。それは既に死を覚悟している事の現れと言えよう。
「婆さん堪忍な」
そう言いながら、落ちていた鉄パイプを持ち出して来たのは、ここに母を連れて来たお隣のご主人だった。
「おう......あんたがやってくれるのか。最期まで世話になるのう」
「苦しまないように一発で仕留めてやるから......勝也君に宜しくな。往生してくれ。じゃあ......行くぞ」
取り囲む村民達が見守る中、母は地べたに正座し合掌した。そしてゆっくりと目を閉じる。
全て舞台は整った。あとはご主人の手に持たれた重い鉄パイプが、母の頭に降り下ろされるのを待つだけだった。
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