第二十一章 Dr.八雲 

41/48

367人が本棚に入れています
本棚に追加
/1040ページ
それまでいきり立っていた村民達も、一瞬にして戦意を喪失していた。凡そ役者が違う。 「まぁ、アマゾネスのお頭様がそう言うんだったら、それはそう言う事で......いいんじゃないか」 「そうだよな......別に俺達も穏便に済むなら、その方がいいし.....」 「おう......もうこんな時間だ。そろそろ帰ろう」 「帰ろう、帰ろう......」 思いの外、半端な幕切れに、若干不満気持な表情を浮かべている村民も居たりはしたが、これ以上残っていても何の利も無い。三々五々群衆はばらけて行った。 そんな騒動が『診療所』の前で繰り広げられている最中、消防団は脇目も触れず、淡々と消防活動を続けていた。その動きは目を見張るものがある。 あれだけ激しく燃え盛っていた炎も、今はすっかりその鳴りを潜めていた。村人の退散と共に、消火活動も間もなく終わりを遂げたそうだ。 とは言え、『診療所』も勝也同様、その全てが完全に炭と化していた。正真正銘、完璧な全焼だ。 逃げる時は、一切証拠を残さない...... もしかしたら、この『診療所』自体に証拠隠滅の為の仕掛けが施されていたのかも知れない。 極神島で証拠を掴まれ、壊滅に追い込まれた秋葉大地だけに、決して有り得ない話では無かった。まあ実際のところは解らないが......
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

367人が本棚に入れています
本棚に追加