第二十二章 珠(たまき)の結末

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カーブを曲がる度に灯る赤いテールランプを、ひたすら追い続ける1台の四駆車両。 ブウォー...... 左ハンドルのその車は、急勾配をもろともせずに、重低音を響かせながら余裕の走りを披露し続ける。 蛇行を繰り返すヒルクライムともなれば、高排気量の四駆は俄然有利だ。 ヤット追い付いたゾ...... 旅館の露天風呂でアマゾネス『朱雀』に急襲され、未来が首に掛けていた出雲大社の御守りを奪い取られたポール。 御守りの中に、重要情報が詰め込まれたメモリーが隠されていた事は、言うまでも無い。 絶対に取り返してやる! エマさん、圭一さん、美緒さん......みんなが命を掛けて闘っている時に、自分だけが下手を打ってる場合では無い。 アマゾネス『朱雀』の車両を追い掛けるポールの目には、正に執念の炎が点されていた。 そんな燃え上がる闘志とは裏腹に、ポールの装備と言えば、小型拳銃1丁のみ。 それに対し敵の『朱雀』は恐らく、銃、ライフル、バズーカ砲、手榴弾......フル装備の精鋭が4人。 追い付いたところで、バトルになれば勝ち目は無い。ここは慎重な行動が求められる場面だ。 ポールは『朱雀』のテールランプを視界に捕らえた時点で、それ以上は近付く事をせずに、一定の距離を保ちながら追尾を続けた。迂闊には近寄れない。 根気よく後をつけていれば、必ずいつかチャンスはやって来る! ポールは来るべき時に備え、鋭気を養いながら、ひたすら赤いテールランプを追い続けた。 やがて山道は、大きく左にカーブを始めた。そしてそれはカーブを曲がり切った時に突然起こった。 !!! なんと!
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