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ポールは身体を捻り、サイドウィンドウの外に立ち尽くす人間に視線を向け、本能のままに怒りをぶちまけた。
「だ、大丈夫な訳がナイダロウ......あんた死ぬキカ?!」
ポールは苦痛に顔を歪めながら、今一度その者の姿を睨み付けた。
!!!
「アンタは......」
「ご......ごめんなさい。ちょっと歩くのが......辛くて......あと......しゃべるのもちょっと......」
今ポールの目に映る者は、立っている事すらままならない様子。見れば右太ももからは大量の血が流れ落ちていた。
スキンヘッドに清楚な顔立ち。
白衣に草履。
尼と思われるその年若き女性の顔を、ポールは忘れる訳も無かった。
「アナタは、樹海のイリグチで自分にお経を唱えてくれたあのアマサン?!」
ポールは思わず目を丸くした。
「そう言うあなたは、もしかして......『EMA探偵事務所』の......人?!」
その女性も驚きを隠せない。
なっ、なんと......
この人はエマさんの事を知っているのか?!
それどころか自分等が探偵である事まで解っているようだ。
それはそれとして......
再びその女性に視線を向けてみれば、なおも大量の血が、右ももから流れ続けている。
こんな状態でよく歩けるものだ。並大抵の精神力では無い。
自分等と同じ臭いがする......
それは最初に見た時から感じていた事だった。
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