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アマゾネスの追跡も、車が使えなくなってしまった以上、一旦は断念せざるを得ない状況。
ここはこの人を救う事に集中するしか無い。
ではどうする?
道路に出て助けを求めるしか無いか......
とは言え、山道にして、この時間......
果たして車なんかが通るのだろうか?
正直期待は持てない。しかしそれくらいしかこの尼を救う手立ては見付からなかった。
何もしないでこのまま出血多量で死ぬのを待つ訳にもいかないし......
よしっ! ポールは立ち上がる。
「チョットここで待ってテ。今、助けを呼んでクルカラ」
ボールは決心を固めると、道路へ向かって走り始めた。自分の額から血が流れている事など、もうすっかり忘れているようだ。
一方その様子に気付いた尼は......
「行っちゃダメ! ここに居て!」
なぜだか慌てふためき始める。
「ハァッ、なに?」
「いいから戻って!」
ポールを呼び止める女性の顔は真面目そのもの。その顔に1パーセントも冗談は含まれていなかった。
「......」
「お願いだから......」
見れば、今にも泣き出しそうな表情を浮かべているではないか。
「......」
ポールはいきり立った気持ちを一旦静め、是非も無し......そんな表情を浮かべながら、女性の元に戻り始めた。
エマを知り、そしてその身分までも知る尼......
その尼は何者かに足を銃で射抜かれ、今、瀕死の重症を負っている。
ポールを必死に呼び止めるその追い詰められた表情を見れば、誰かに追われている事くらいは容易に想像が出来た。
まずは話を聞こう......
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