第二十二章 珠(たまき)の結末

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尼のすぐ横にどっぷりと腰を降ろす。 何も話せません...... そんな話で済ませるつもりは無い。 自慢の四駆はお釈迦となり、アマゾネスの追跡も断念せざるを得なくなった。これは自分にとっても『EMA探偵事務所』にとっても大打撃。 自分には全てを聞く権利があり、この尼には全てを話す義務がある。 早速、ポールはその権利の行使を始めた。 「ちゃんとハナシテ」 ポールは鋭い視線を尼に向けた。 「解りました......話さない訳にもいきませんよね......私は珠、幸田珠(こうだたまき)と言います。公安中部支部に所属しています。 『富士国』の秘密を探る為、『聖教院』に尼として潜入。エマさんと知り合ったのもこの場所です。 スパイ活動も怪しまれる事無く、順風満帆に進んでいたのですが......本部との連絡手段として使っていた鳩に気付かれ、アジトを見付けられてしまいました。 途端に追われる身となり、気付けばこの様です。どうやらその後私を抹殺する為に『富士国』の精鋭部隊『アマゾネス』が召集されたらしい...... 本当に情けない......もしエマさんが生きていたら会わす顔がありません」 そこまで話すと、珠は静かに視線を落とした。気付けば目に涙を浮かべている。 !!!
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