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「オイオイ、チョット待ってくれ! ナニその話?まるでエマサンが死んじゃったみたいじゃナイカ?!」
ポールは顔を紅潮させ、珠に詰め寄った。
「えっ、知らないんですか?」
珠の方こそ驚き顔だ。
「シラナイって......それどう言う事ナンダ?!」
気付けばポールは、珠の襟首を両手で掴んでいた。エマの事となると、どうしても感情をコントロール出来なくなる性分だ。
「ちょっと苦しい! これじゃ話したくても話せないでしょう!」
ポールが女性に対し、このような行動に出る事は珍しい。よっぽど取り乱したのであろう。
「スッ、スマナイ......」
相手は女性、しかも怪我人だ。ポールは突然我に返り、珠の襟首を掴んでいた手を放す。
「そう......何も聞いてないんですか......なら尚更話しておかないといけないですね......
では、落ち着いて聞いて下さい......
いいですか......
............
エマさんはすでに『死んだ』とされています!」
「なんだって!!!」
ポールの顔から一気に血の気が引いていく。完全に頭の中はパニック状態だ。
そんなポールの慌てふためいた様子を裏腹に、珠は淡々と話を続けていく。
エマが『アマゾネス 玄武』の『頭』になった事。
エマの部隊が先日の嵐で村民の救出にあたった事。
その際、エマが土砂崩れに巻き込まれた事。
恐らく『祠の滝』から落ちた事。
そして『祠の滝』から落ちて、過去に生きていた者は居ない事。
珠はエマの生存の可能性が極めて薄いと言う根拠を、脚色する事無く、有りのままをポールに話して聞かせた。
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