第二十二章 珠(たまき)の結末

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『鉄の塊』に隠れながら、目だけを出してその音源に顔を向けるポール。 遠くから、2つのベッドライトの灯りが、徐々にこちらに向かって近付いて来ている。 間違い無い。アマゾネスの車だ...... あいつら...... 戻って来やがったか...... 珠曰く、珠抹殺の為にアマゾネスが召集されたと言う。 わざわざUターンして戻って来るなど、理由はそれ以外に考えられない。 重要情報のメモリースティックを奪い返すが為に、ここまでアマゾネスを追い掛けて来たポール。 そして皮肉にも、そのアマゾネスから命を狙われている珠と遭遇した途端、立場は逆転し、追われ人と化したポール。 更にはこの男......美人を前にして、格好つけずにはいられないと言う厄介な習性を持っていた。 「珠サン。恐らく連中は、この煙を吐くポンコツを見付けて車カラ降りて来るデショウ。 自分は連中を全員ツレテここカラ離れるんデ、珠サンは、アソコの大木の影に隠れててチョウダイ。 全員シマツしたらここに戻るカラ。1人で不安かも知れないケド、少しの間だけガマンね」 ニタリと笑うポール。 装備的にも頭数的にも圧倒的不利なこの状況。更に怪我人が一緒ともなれば、守り切れる訳も無い。 まずはアマゾネスを引き連れて珠から離れる事。それ以外に勝機を見出す事は出来なかった。 気付けばベッドライトの灯りはどんどん近付いて来ている。アマゾネスの車は、もう目と鼻の先にまで迫って来ていた。猶予は無い。 一体、この人はどうやってこの場からアマゾネスを連れ出すつもりなのだろう...... 珠にはポールの本意が全く読めない。しかし今はこの人を頼らざるを得なかった。 「......」 珠は無言でポールに指示された大木の影へと歩き出していく。 よおし、それじゃあ、始めるか! 「南無阿弥陀仏!」 掛け声一発、ポールは早速行動に出た。 その様子に気付いた珠は、 「何この人! 頭おかしい?!」 ただ呆気に囚われて、常軌を逸したポールのその行動を見詰めるばかりだった。
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