第二十二章 珠(たまき)の結末

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ガツンッ、ガツンッ、ガツンッ! ガツンッ、ガツンッ、ガツンッ! そんな鈍い音が響き渡る度に、頭上からは木葉や枝の類いが、あられのように降り落ちてくる。 ガツンッ、ガツンッ、ガツンッ! ガツンッ、ガツンッ、ガツンッ! 一体何を始めたのだろうか? ............ ............ もうこんなもんでいいか...... やがて目眩を覚えたポールは、その動きを止め、ゆっくりと振り返った。 「あわわわわ......」 珠はポールの顔を見た途端、思わず息を飲んだ。 未だポールが何でこのような事をやっていたのか、全く理解出来ていない。 「大人しく隠れてテネ。それじゃ......僕はイクヨ」 ポールは爽やかな笑顔で珠にそう言い残すと、鮮やかにその場から立ち去って行った。額から流れ落ちた血痕を、点々と残しながら...... なるほど...... そう言う事か...... 珠は血痕の跡を見て、何となくその策が見えたような気がする。 ポールは大木に何度も何度も頭を叩きつけていた。 ガツンッ、ガツンッと激しい音を立てながら...... そんな事をすれば、額の傷が一気に広がる。 そして自然の法則に乗っ取り、大流血。 ポールの額から流れ落ちた血痕は、ここへ来るまでに自分が落とし続けて来た血痕と繋がり、襷(たすき)を繋げたかのように、山奥へと更なる血のレールを敷き詰めていった。 ここまでは珠の血、そしてここにからはポールの血。そんな事は誰にも解りはしない。
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