367人が本棚に入れています
本棚に追加
/1040ページ
ガツンッ、ガツンッ、ガツンッ!
ガツンッ、ガツンッ、ガツンッ!
そんな鈍い音が響き渡る度に、頭上からは木葉や枝の類いが、あられのように降り落ちてくる。
ガツンッ、ガツンッ、ガツンッ!
ガツンッ、ガツンッ、ガツンッ!
一体何を始めたのだろうか?
............
............
もうこんなもんでいいか......
やがて目眩を覚えたポールは、その動きを止め、ゆっくりと振り返った。
「あわわわわ......」
珠はポールの顔を見た途端、思わず息を飲んだ。
未だポールが何でこのような事をやっていたのか、全く理解出来ていない。
「大人しく隠れてテネ。それじゃ......僕はイクヨ」
ポールは爽やかな笑顔で珠にそう言い残すと、鮮やかにその場から立ち去って行った。額から流れ落ちた血痕を、点々と残しながら......
なるほど......
そう言う事か......
珠は血痕の跡を見て、何となくその策が見えたような気がする。
ポールは大木に何度も何度も頭を叩きつけていた。
ガツンッ、ガツンッと激しい音を立てながら......
そんな事をすれば、額の傷が一気に広がる。
そして自然の法則に乗っ取り、大流血。
ポールの額から流れ落ちた血痕は、ここへ来るまでに自分が落とし続けて来た血痕と繋がり、襷(たすき)を繋げたかのように、山奥へと更なる血のレールを敷き詰めていった。
ここまでは珠の血、そしてここにからはポールの血。そんな事は誰にも解りはしない。
最初のコメントを投稿しよう!