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珠は心の中で呟く......
必ず生きてここに戻って来て下さいね。
ここで帰りを待っていますから......
でも......
それまで私、頑張れないかも知れない......
珠の太ももからは、未だ激しい血が流れ落ち続けている。その勢いは一向に衰えを見せてはくれない。唇は紫色に変色し、顔に血の気は殆ど無くなっていた。
なんだか眠くなって来た......
寒い......
珠は今や三途の川を渡り始めていた。
そんな珠を、川から岸へ呼び戻す事が出来る人間が居るとしたら......それは最早ポール以外には考えられなかった。
ポールの敵はアマゾネスに有らず。
真の敵......それは正に『時間』だった。
時間と戦う為には、逃げの一手は使えない。無敵のアマゾネス多勢を相手に、一人だけで即開戦、即勝利、即撤退。
何だか雲を掴むようなシナリオではあるが、それ以外に珠を救う手立ては無かった。
ポールは既に腹を括っている。特に秘策が有る訳でも無い。
そんな開き直ったポールの頭に浮かんでくるもの......それは珠の笑顔だった。
珠さん......
もし生きて帰って来たら、
まずはお友達から。
本気になっているのはむしろこの男の方だった。
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